あなたのアイデアが未来を変える！「月の砂・レゴリス」実験への挑戦

こんにちは、宇宙ミュージアムTeNQ(テンキュー)の渡邊です。
TeNQのコラムも4回目となりました。

今回のコラムでは、夏の自由研究テーマとしてもぴったりな「月のレゴリス」についてお話したいと思います。

今年2019年の夏は特に「月」の話題が豊富ですが、その理由は皆さんもうご存じでしょうか。

アポロ11号の月面着陸から50周年

1969年7月20日（日本時間21日）、アポロ11号が「静かの海」に着陸し、人類が初めて月に降り立ちました。

あれからちょうど50年。

アメリカが人類を月に送ることを目指して行った「アポロ計画」は、科学計画という面でも史上最大で、月の石を持ち帰るなど月の科学という面でも大きな功績を残しました。

50年前、私たちから最も近い天体である月に人類が到達した──

改めて考えるだけでも、本当にすごいことですよね。
そして今でも、人類が到達したことのある天体は、月だけです。

こちらの記念サイトをはじめ、各地でも月をテーマにしたイベントが開催されており、今年はより一層、月への関心が高まっています。

月の砂「レゴリス」に苦戦してきた人類

マンガ『宇宙兄弟』を読んだことがある方は、日々人が宇宙へ行く前の訓練を覚えているでしょうか？（運悪く月の砂塵で目が見えなくなった場合を想定した訓練です）

あるいは、六太たちジョーカーズが月面に着陸したあとすぐに、砂まみれになった機体の掃除を行っていたシーンも印象的です。

月の表面は、「レゴリス」というパウダー状のとても細かな砂で覆われています。

レゴリスは宇宙服や機器に付着しやすく、故障の原因となることがあります。

例えばレゴリスが宇宙服のシワや隙間に入ってしまったり、まとわりついてしまったり、太陽光パネルに付着することで発電効率が低下する等の悪影響も考えられます。

アポロ17号で月へ行ったハリソン･シュミット宇宙飛行士らは、作業中に宇宙服に付着したレゴリスが船内に入ったことにより、くしゃみや鼻づまりといった症状を引き起こしたそうです。

数日間も同じ症状が続くこともあり、この症状は「月花粉症」（lunar hay fever）と呼ばれました。

また、地球の砂とは異なり、月のレゴリスは尖っていることもわかっており、吸い込むことで肺などを傷つける可能性も指摘されています。

TeNQでレゴリスの研究に参加しよう！

TeNQでは、東京大学大学院 宮本英昭教授（TeNQリサーチセンター長）監修による『月のレゴリスプロジェクト』を2019年9月1日まで開催しています。

「レゴリス」が付着しにくい素材の開発が重要な課題となっている今、まさにその素材の開発に皆さんがご参加いただけるプロジェクトです。

レゴリスが”付着しにくい”と思われる素材を持参いただくか、TeNQリサーチセンターで用意したサンプルを使って実験に参加することができます。

お持ちいただいた素材は、特殊な測定器により実験素材のレゴリス付着量を測定し、その結果は毎日順位付けされていきます。

展示期間終了後、ランキング上位5名様には素敵なプレゼントも！

こんな実験にご参加いただきます！

1、素材名やニックネームを用紙に記入します。
2、試料の汚れを取り、砂をかけます。

3、少しゆすって砂を落とします。
4、砂をつけたところにテープを貼り、はがしてスライドマウントにつけます

5、透過率計で数値を測定します。
＜点数が高得点の場合は次の測定に進むことができます＞

6、スキャナで取り込み、さらに細かい測定･解析を行います。
7、スタッフがデータを入力し、実験日時までの総合順位が出ます。
（ランキング上位に入れば良い素材ということになります）

あなたの考える”レゴリスが付きにくそうな素材”を持って、ぜひTeNQサイエンスエリアまで挑戦しに来てください。

もちろんお子さまだけではなく、大人の方の挑戦もお待ちしています！

「That’s one small step for man, one giant leap for mankind.」
─これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍である─

ニール・アームストロング

人類として初めて月に降り立ったアームストロング船長が残した、有名な言葉です。

あなたのそのアイデアが、未来の大きな一歩につながるかもしれません。